アメリカの大手格付け会社の格付けは株式、為替(FX)にどのような影響があるのか
あなたがもらう給料よりも、出ていくお金が多ければ借金をしなければいけません。
国も同様で、足りなければ国債を発行して、やりくりします。
その際に、その国が問われることは、信用力と返済能力です。
格付け会社は、債券の発行者に返済能力があるかどうかの信用を判断しています。
そして、アルファベットと数字でその国の信用力と返済能力を決めます。
投資をする上で、その国の信用の有無を見極めるためには、格付けを見なければいけません。
格付けは、あらゆる金融商品に影響をあたえます。
それでは投資指標としての、格付けについて見ていきましょう。
信用力を判断する大手格付け会社
国の信用力を判断する格付けの変更は、為替の変動のきっかけになることがあります。
以前は、格付けが相場に影響をもたらすことは少なく、一部の新興国で起きる金融危機などに限られていました。
しかし、2008年アメリカで起きたリーマン・ブラザーズの倒産にはじまり、ギリシャの債務危機が起きたあたりから、格付けの変更が為替変動に大きく関連するようになりました。
そのため、大手格付けの影響が為替に関係するようになった為、格付けの重要性が注目を浴びるようになりました。
その格付けを行っているのが、民間企業の格付け会社です。
一民間企業が国家の信用力を判断し、時にはとんでもない結果を引き起こしてきた歴史があります。
その大手格付け会社の代表が、アメリカにある3社です。
・スタンダード&プアーズ(S&P)
世界最大の格付けであり、アメリカに本社を構える150年以上の歴史をもちます。
・ムーディーズ
世界の格付けの40%のシェア。アメリカに本社を持ち、1909年から格付けを行っています。
現在の主流であるアルファベットの文字による格付け表記はムーディーズが初めて行いました。
・フィッチ・レーティングス
イギリスとアメリカに本社があり、世界三大格付け会社のひとつです。
格付け表記について
スタンダード&プアーズ(S&P)とフィッチ・レーティングスの表記は一緒です。
AAAからDまであり、Dが財政破綻を示すデフォルトになります。
BBB-以上であれば投資適格債。
BB+以下は投資不適格債(ジャンク債)として扱われます。
一方、ムーディーズはAaaからCまであり、Cがデフォルトになります。
Baa3以上であれば投資適格債。
Ba1以下は投資不適格債(ジャンク債)として扱われます。
格付けで、投資不適格債(ジャンク債)と判断されれば、財政破綻のリスクがあるため、国としての信用力を失ってしまいます。
ムーディーズ | S&Pとフィッチ | 信用度 | |
1 | Aaa | AAA | 信用度が最も高い |
2 | Aa1
Aa2 Aa3 |
AA+
AA AA- |
信用度が高い |
3 | A1
A2 A3 |
A+
A A- |
中級の上 |
4 | Baa1
Baa2 Baa3 |
BBB+
BBB BBB- |
中級 |
5 | Ba1
Ba2 Ba3 |
BB+
BB BB- |
投機的相当の信用リスク |
6 | B1
B2 B3 |
B+
B B- |
投機的信用リスクが高い |
7 | Caa1
Caa2 Caa3 |
CCC+
CCC CCC- |
投機的安全性が低い |
8 | Ca | CC
C |
投機的
デフォルト間際 |
9 | C | RD
SD D |
デフォルト |
格下げで起きること
2011年8月5日にスタンダード&プアーズ(S&P)が、アメリカの長期発行体格付けをAAAからAA+に格下げしました。
格付け会社が米国債を格下げしたのは、史上初めてのことでした。
この影響を受けて、世界中の株式、債券、為替に大きなショックを与えました。
米国債ショックと呼ばれた、この格下げにより3円のドル安になったのです。
アメリカの格下げは世界中の金融商品をカオスへと導くことが再認識できた出来事でした。
また株式も日経平均が9500円のところを、9000円を割り込みました。
最後に
世界は、評価経済、信用経済、宗教経済へとシフトしています。
そして経済自体が格付けで動くようになってきました。
例えば飲食店、病院、大学、企業は、格付けの対象になっており、比較サイトや口コミサイトの影響をダイレクトに受けるようになりました。
そして何が起こったかというと、完全な二極化現象です。
人気のあるところは、更に人気になり、人気のないところには人が集まらなくなりました。
良い悪いは別として、もう流れには逆らえない状況になっています。
つまり、一民間企業の格付けにより、世界を混乱へと導く可能性があるということです。
ひとつの格付けで、一夜にして世界中に影響を与えてしまう、格付け会社の発表については確認しておいてください。